Like a Child①

 

“落ち着いてる”、“大人っぽいね”。そう言われることが多い。別にそれが嫌ってわけじゃないけど、まだ高校生なんだから、甘やかされて生きていたい。「◯◯なら大丈夫」とかそんなん言われても、大丈夫じゃねぇよ、と心の中で毒づく。

 

何をこんなにイライラしているかというと、遡ること一時間前。昼休み。

 

「しつれーしまーす」

 

いかにも、“ダルいです”みたいな態度で職員室に入る。

 

「◯◯!」

 

それでも嬉々とした表情でアタシを迎え入れる担任。だるい。

 

「なんすか?」

「生徒会選挙出ないか?」

「嫌です。」

 

即答。そーゆーおカタイ感じのヤツは嫌いだから。いや、実際おカタイかは知らんけど。生徒会とか、好きじゃない。

 

「推薦の材料にもなるし、どうだ?」

「いや、私そういうのあんまり...」

「◯◯なら大丈夫だろ、それに生徒会は1人でやるわけじゃないんだし。」

 

そーゆーことじゃねぇ、って思いながらも段々面倒くさくなってきて。

 

「考えときます。」

 

って逃げた。

教室に戻ると、

 

「おかえりー!なんだった??」

 

やたら明るい友達の声。いつもなら、テンション高ぇな、ってちょっと苦笑いするけど、今回ばかりはちょっとだけ感謝する。気だるい感じが払拭される、気がする。

 

「生徒会選挙出ろ、だって。」

「...マジ?」

「マジ。」

「どーすんの。」

「出ない。」

 

チラ、と視線を巡らすとクラスの地味っぽい眼鏡の男の子。生徒会長に立候補したとかしてないとか、そういう噂のある人。

毎年ウチの高校は承認投票だから、アタシが出なければ自然と彼が会長になる。

 

「アイツ、立候補したらしいよね」

 

私の視線の先を見た友達が呟く。

 

「邪魔したら恨まれそう」

 

別の友達がコソッと呟いた言葉に、少し笑ってしまう。

校則ギリギリのスカート丈に、くるくると巻いた髪と緩められたワイシャツとリボン。どう考えても生徒会長の外見ではない。

担任に断りに行こう、とぼんやり考えながら、5限目を受ける。

 

不意にポケットの中のスマホが震えた。チラ、と通知を見ると、

 

『今日学校終わったらおいで』

 

の文字。大好きな、私を唯一甘やかしてくれる相手からのLINEにニヤける顔を隠すように、ノートに視線を落とした。